【PKCZ® CULT CLUB Vol.5】『DAFT PUNK解散』




DAFT PUNK解散というニュースは瞬く間に世界中を駆け抜け、各種SNSでは多くの落胆の声や彼らに対する感謝の気持ちで溢れかえりました。そんな中『Epilogue』と題された彼らからの最後のメッセージとも言える8分の動画を最初に観て感じたのは『コレでDAFT PUNK終わり??』という感想でした。


様々なWeb媒体に書いてある”新映像を公開!”的な見出しは全て間違っていて、アノ映像は全編15年前に公開されたDAFT PUNKによるカルトムービー『ダフト・パンク エレクトロマ 』の1部を引用した映像だった為です(正確には音は変えてあるのでその部分は新しいですが)。


更に感じたのはトーマ・バンガルテル氏、ギ=マニュエル氏の2人はもうDAFT PUNKとして

やるべきこと...やりたいことは既にやりきってしまったのだろうな、ということです。

1枚目のアルバムで若くしてハウスミュージックへの敬愛とリスペクトを示し、2枚目のアルバムで『ONE MORE TIME』と共にお茶の間レベルまで自分たちの音楽を届け、2週間で完成させたという3枚目のアルバムをパーツとして使い世界中の誰も観たことのないライブを作り出し、全音楽ファンの度肝を抜きました。そして結果最後のアルバムとなった4枚目の『Random Access Memories(以下R.A.M.)』では、徹底的に自己の音楽に対する愛や芸術性と向き合い、DAFT ARTSのプロジェクトにおいて最高到達点とも言っても過言ではない作品を生み出しました。そしてのちに、このアルバムはエレクトロニックアルバムとして初のグラミー最多5冠を成し遂げます。この授賞式で2人が抱き合って喜ぶ姿は、長年追いかけ続けたファンにとっても本当に感動の場面でした。



ここからは、4枚目以降の話に少し詳しく触れてみたいと思います。

ドキュメンタリー『Daft Punk Unchained』によると、ディズニー社からの仕事であるトロンのサウンドトラック制作の際に、フルオーケストラと仕事をした事で4枚目の構想が固まったようです。1枚目のアルバムでは、ハウスミュージックのグルーヴとして70年代〜80年代のディスコサウンドやロック,ソウル,ファンクなどからサンプリングして、新たなダンスミュージックに生まれ変わらせることに成功しました。この”サンプリング”は90年代を象徴するクリエイティヴの手法で、数々のアーティストが実践しています。


このように70年代を中心とした音楽には、その後の多くのミュージシャンに多大なる影響を与え"サンプリングしたい"という『マジック』が込められているとダフトの2人は感じていたようです。そこで4枚目のアルバムは当時のミュージシャンは勿論、機材までも当時のモノを集め細部まで徹底的にこだわり、4年という歳月をかけてアルバムを完成させました。その結果、このアルバムには彼らの思惑通り『マジック』が込められ、永遠のマスターピースとも言える作品となりました。


そして彼らには既に5枚目のアルバムの構想があったという噂があります。自らの4枚目のアルバムをサンプリングし新たなダンスミュージックとして生まれ変わらせ、新アルバムとして発表するという驚愕のアイディアでした。しかも構想時はアルバム1枚目のようなループのダンスミュージックだったというのです!!その説の信憑性を高める話として『R.A.M.』のラストトラック『Contact』は盟友DJ Falconと共に制作し、アルバムの中で唯一アッパーなダンストラックで終わっています。これはまさに次への布石だったと言われています。


さて最後にDAFTからの解散メッセージ『Epilogue』に話を戻しましょう。


彼らは『ダフト・パンク エレクトロマ 』のトーマさんが自爆するシーンを引用し、DAFT ARTSの終焉を世界に伝えました。衝撃的な爆破のあとは、夕日に向かってギさんが歩いていくシーンで終わります。この時のサウンドには、DAFT PUNKのマスク姿の元ネタになったとも言われている『ファントム・オブ・パラダイス』に出演し、更に作曲も手がけるポール・ウイリアムズ氏と共に制作した『Touch』が使われています。そして『Hold on If love is the answer, you’re home』という歌声と共に終わっていきます。しかし本当なら『Touch』は曲の続きで、『You’ve almost convinced me I’m real(もう少しで僕が現実だって納得してしまうところだった) I need something more(もっと何かが必要だ)』と歌われています…コレはトーマさんとギさんからのメッセージのような気がしてなりません。ロボットして生きていく事はもう出来ない、つまりDAFT PUNKとして表現するべきことは全て終わったと言いたいのでは無いでしょうか?しかしその部分の歌詞はあえてカットするあたりが2人の”粋さ"ですよね。


噂された予定通り5枚目で再びダンスミュージックに戻り、その後ライブを展開したとしても自らの焼き直しとなり『常に新しいことをやりたい』という彼らのポリシーに反するという結論に至ったのだと思います。そして”DAFT PUNKの"音楽作品として『R.A.M.』を超える事はファンの僕らからみても、かなり困難であるということが言えます。


ですので終わり方はどうあれ、トーマ・バンガルテルとギ=マニュエルが表現者として次に進む為にDAFT PUNKを終わらせたことはとても納得が出来ます。


ひとまずお疲れ様でした!

どうもありがとうMr.ROBOT!