ただただ素晴らしかった。
誤解を恐れずにお伝えすると、全ての人に刺さる映画ではないかもしれません。
派手なストーリー展開やロマンスを期待しても、そう言った意味ではこの映画には大きな展開は何も起こりません。
現代のノマドとして暮らす高齢者達が過酷ながらもアメリカの雄大な自然と共に生活しており、その暮らしの中に入り込んだようなフィクションとノンフィクションの間の映像の中で詩的に、そしてとても美しく静かに心に響いてくる映画でした。
彼(彼女)らはノマドと言っても牧畜をして暮らすような事ではなく、バンで車中泊を続けながらAmazonなどの巨大企業の倉庫などで季節労働者的に働き、最低限のお金を稼いでいます。
そして自分が行きたい所へ行き、観たい風景を感じて暮らす。勿論金銭的には貧しい暮らしなのかもしれませんが、心が貧しいのとは全く別問題であり物質的な豊かさのみに縛られた生活への問題提起があるのは言うまでもありません。
そして今後一つの場所で暮らし人生を終える事が当たり前の事とされているのは、前時代的な考え方となるでしょう。
劇中にポイントで出てくる圧倒的な自然や、小さな石ころから途方もない時間の流れを感じる事が出来、その対比として人生の短さや儚さを考えさせられます。
フランシス・マクドーマンドさん演じるファーンの生き様を通し、映像美と共にこの映画で旅する為には、映画館での鑑賞を強くオススメします。
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